[JCR] フィリピン共和国の格付がBBB+ / 安定的に見直されました。

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16-I-0031
2016年 8月 2日
株式会社日本格付研究所(J CR)は、以下のとおり信用格付の結果を公表します。

フィリピン共和国 (証券コー ド:-)

【据置】
外貨建長期発行体格付 BBB+
格付の見通し 安定的
自国通貨建長期発行体格付 BBB+
格付の見通し 安定的
■格付事由
(1) 格付は対外ショックに対する一定の耐性、比較的良好な政府財政ポジション、底堅い内需をけん引役とし
た比較的高い経済成長ポテンシャルを主に反映している。他方、格付は道路など一部では改善が見られる
ものの、依然として不十分なインフラなど課題の多い投資環境により制約されている。格付の見通しは安
定的である。15年に 5.9%と高い成長を達成したフィリピン経済は、16年も底堅い内需に牽引され、6%
台の成長を続けると予測される。財政ポジションは、予算執行の遅れもあって財政赤字が政府計画を下回
って推移しており、比較的良好な水準で維持されている。経常収支は、海外労働者送金、ビジネス・プロ
セス・アウト・ソーシング(B PO)産業ならびに観光産業に支えられ、引き続き黒字が続くとみられる。
対内証券投資流出入のボラティリィティーが高まっているものの、外貨準備は総対外債務を上回る水準と
なっており、対外ショックに対する一定の耐性が維持されている。16年 6月に発足したドゥテルテ政権
は、アキノ政権のマクロ経済政策を継承しつつ、インフラ投資の加速、外資規制見直しによる FD I誘致、
所得税と法人税の税率引下げなど税制改革を行う方針である。J CRは新政権による経済政策の今後の進捗
に注目していく。
(2) 約 1億人の人口を有する東南アジアの島嶼国。15年の一人当たり G D P は2,880米ドルとなっている。15
年の実質 G D P成長率は、堅調な海外労働者送金に下支えされた個人消費と設備投資の増加を主因に 5.9%
と比較的高い成長を達成した。16年については、インフレ率が低位にとどまる中、海外労働者送金の増
加が引き続き個人消費を下支えすると期待される。加えて、政府によるインフラ投資の拡大もあり、6%
台の経済成長が達成可能と予測される。16年 1-3月期の実質 G D P 成長率は 6.9%を記録するなど、アジ
アの中で高い水準にある。J CRはフィリピン経済がより高い成長を中期的に持続していく上でインフラの
整備や投資環境の更なる改善が不可欠と考えており、政府による取り組みとその進捗に注目していく。金
融システムについては、15年末の不良債権比率が 1.6%と前年よりやや改善する一方、自己資本比率(連
結ベース)は 15.8%と金融当局による 10%規制を大きく上回る水準となっている。とは言え、商業銀行
貸出残高の G D P 比率は 49.1%と未だ低位にとどまっており、フィリピンが持続的経済成長を実現する上
で金融セクターの深化・多様化は依然重要課題である。
(3) 財政ポジションは比較的良好な水準で維持されている。15 年の中央政府財政赤字はインフラ関連の予算
執行の遅れもあり、G D P 比0.9%と政府計画の2.0%を下回った。これにより 15年末の中央政府債務残高
は G D P 比で 44.7%と前年末の 45.4%からやや低下した。財政のファイナンスについては、国内での国債
発行を増やすことで対外債務への依存度を低下させる方針を堅持している。財政ポジションの改善傾向を
背景に利払い費用は G D P 比で 05年の 5.3%から 15年の2.3%に大きく低下している。ドゥテルテ政権は
16年の財政赤字を G D P比2.7%と予想している。同政権は22年までにインフラ向け支出を G D P比7%に
拡大する計画である。また、財政赤字は、17年以降、G D P 比 3%とする方針である。所得税と法人税の
税率引下げ、インフラ向け支出拡大などの計画もあり、比較的良好な財政ポジションを維持するには、税
収基盤を強化するとともに、高い経済成長を持続させる必要がある。新政権は、甘味飲料や石油製品に対

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する税の引き上げや付加価値税免除規定の見直しなどの税制改革を計画しており、16年 9 月までに包括
的な税制改革案を提出する方針である。J CRでは今後の税制改革の進捗を注視していく。
(4) B PO 産業の収入増加を主因とするサービス収支黒字と海外労働者送金の堅調な増加を主因とする第二次
所得収支の黒字が財貿易赤字を相殺し、経常収支は 03年以降、黒字が継続している。15年は、輸出の減
少を主因とする財貿易赤字の拡大により経常黒字は G D P 比で前年の 3.8%から 2.9%に低下した。ただし、
サービス収支と第二次所得収支の黒字が経常黒字を支える構造自体は、今後とも維持されると見ている。
なお、B PO 産業の売上高は 04 年の 15億米ドル(G D P 比 1.6%)から 15年には 220億米ドル(G D P 比
7.5%)へと高成長を遂げ、同産業は海外労働者送金に並び同国経済を支える重要な存在となっている。
経常収支の黒字傾向を背景に外貨準備高は高水準で維持されている。16年 3月末時点の外貨準備高は830
億ドルで、これは同時点での対外債務残高776億米ドルを上回る。また、同外貨準備高は、同時点の短期
対外債務残高の 5.8倍となっており、外貨流動性ポジションは良好な水準に維持されている。
(担当)田村 喜彦・幾島 真
■格付対象
発行体:フィリピン共和国(Republic of the Philippines)
【据置】
対象 格付 見通し
外貨建長期発行体格付 BBB+ 安定的
自国通貨建長期発行体格付 BBB+ 安定的

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格付提供方針に基づくその他開示事項

1. 信用格付を付与した年月日:2016年7月28日
2. 信用格付の付与について代表して責任を有する者:増田 篤
主任格付アナリスト:田村 喜彦
3. 評価の前提・等級基準:
評価の前提および等級基準は、J CRのホームページ(http://www.jcr.co.jp)の「格付方針等」に「信用格付の種類
と記号の定義」(2014年 1月6日)として掲載している。
4. 信用格付の付与にかかる方法の概要:
本件信用格付の付与にかかる方法の概要は、J CRのホームページ(http://www.jcr.co.jp)の「格付方針等」に、
「ソブリン・準ソブリンの信用格付方法」(2014年 11月7日)として掲載している。
5. 格付関係者:
(発行体・債務者等) フィリピン共和国(Republic of the Philippines)
6. 本件信用格付の前提・意義・限界:
本件信用格付は、格付対象となる債務について約定通り履行される確実性の程度を等級をもって示すものである。
本件信用格付は、債務履行の確実性の程度に関しての J CRの現時点での総合的な意見の表明であり、当該確実性
の程度を完全に表示しているものではない。また、本件信用格付は、デフォルト率や損失の程度を予想するもので
はない。本件信用格付の評価の対象には、価格変動リスクや市場流動性リスクなど、債務履行の確実性の程度以外
の事項は含まれない。
本件信用格付は、格付対象の発行体の業績、規制などを含む業界環境などの変化に伴い見直され、変動する。ま
た、本件信用格付の付与にあたり利用した情報は、J CRが格付対象の発行体および正確で信頼すべき情報源から入
手したものであるが、当該情報には、人為的、機械的またはその他の理由により誤りが存在する可能性がある。
7. 本件信用格付に利用した主要な情報の概要および提供者:
・ 格付関係者が提供した経済・財政運営方針などに関する資料および説明
・ 経済・財政動向などに関し中立的な機関が公表した統計・報告
8. 利用した主要な情報の品質を確保するために講じられた措置の概要:
J CRは、信用格付の審査の基礎をなす情報の品質確保についての方針を定めている。本件信用格付においては、
発行体もしくは中立的な機関による対外公表、または担当格付アナリストによる検証など、当該方針が求める要件
を満たした情報を、審査の基礎をなす情報として利用した。
9. 非依頼格付について:
本件信用格付は格付関係者からの依頼に基づかない信用格付である。国に対する信用格付である場合を除き、依
頼に基づく格付と区別するため格付記号の後に「p」を表示している。格付関係者からは、信用評価に重要な影響を及
ぼす非公表情報を入手している。
10. J CRに対して直近1年以内に講じられた監督上の措置:なし

■留意事項
本文書に記載された情報は、J C Rが、発行体および正確で信頼すべき情報源から入手したものです。ただし、当該情報には、人為的、機械的、また
はその他の事由による誤りが存在する可能性があります。したがって、J C Rは、明示的であると黙示的であるとを問わず、当該情報の正確性、結果、
的確性、適時性、完全性、市場性、特定の目的への適合性について、一切表明保証するものではなく、また、J C Rは、当該情報の誤り、遺漏、また
は当該情報を使用した結果について、一切責任を負いません。J C Rは、いかなる状況においても、当該情報のあらゆる使用から生じうる、機会損失、
金銭的損失を含むあらゆる種類の、特別損害、間接損害、付随的損害、派生的損害について、契約責任、不法行為責任、無過失責任その他責任原因
のいかんを問わず、また、当該損害が予見可能であると予見不可能であるとを問わず、一切責任を負いません。また、J C Rの格付は意見の表明であ
って、事実の表明ではなく、信用リスクの判断や個別の債券、コマーシャルペーパー等の購入、売却、保有の意思決定に関して何らの推奨をするも
のでもありません。J C Rの格付は、情報の変更、情報の不足その他の事由により変更、中断、または撤回されることがあります。格付は原則として
発行体より手数料をいただいて行っております。J C Rの格付データを含め、本文書に係る一切の権利は、J C Rが保有しています。J C Rの格付データ
を含め、本文書の一部または全部を問わず、J C Rに無断で複製、翻案、改変等をすることは禁じられています。
■NRSRO登録状況
J C Rは、米国証券取引委員会の定めるNRSRO(Nationaly Recognized Statistical Rating O rganization)の5つの信用格付クラスのうち、以下の 4クラ
スに登録しています。(1)金融機関、ブローカー・ディーラー、(2)保険会社、(3)一般事業法人、(4)政府・地方自治体。米国証券取引委員会規則 17g-
7(a)項に基づく開示の対象となる場合、当該開示は J C Rのホームページの“Rating Information”(http://www.jcr.co.jp/english/top_cont/rat_info01.php)
に掲載されるニュースリリースに添付しています。
■本件に関するお問い合わせ先
情報サービス部 T EL:03-3544-7013 FAX:03-3544-7026

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