[JCR] 大韓民国の格付がA+ / 安定的 AA- / 安定的に見直されました。

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15-I-0093
2016年 3月 31日
株式会社日本格付研究所(J CR)は、以下のとおり信用格付の結果を公表します。

大韓民国 (証券コー ド:-)

【据置】
外貨建長期発行体格付 A+
格付の見通し 安定的
自国通貨建長期発行体格付 AA-
格付の見通し 安定的
■格付事由
(1) 格付は、アジア有数の高所得国となることを可能とした韓国のこれまでの経済発展、高い国際競争力を有
する輸出産業基盤、良好な政府財政ポジション、金融システムの安定性などを主に反映している。他方、
財閥主導の経済発展は、一部の大手財閥に過度に依存した経済構造を生み出し、その改善が今後の課題の
一つとなっている。また、従来からの懸念材料である北朝鮮問題による地政学リスクの高まりについても
注意が必要となっている。格付の見通しは安定的である。15 年の韓国経済は、中東呼吸器症候群
(M ERS)の発生、中国経済の減速や原油価格の急落を背景とする輸出の低迷などにより成長率が前年の
3.3%から 2.6%へと緩やかな減速を余儀なくされた。16年は中国経済の減速が続くと見られることから、
前年に 10.5%減少した輸出の低迷が続く可能性が高いことに加え、家計債務問題の影響もあり個人消費
の回復に制約がかかる可能性がある。その上、年初からの北朝鮮問題による朝鮮半島の地政学リスクの高
まりが、企業の投資マインドの順調な回復を阻害する恐れも生じている。このため、同年の韓国経済には
引き続き下方圧力がかかる可能性があると考える。同国経済は、貿易依存度の高まりとともに世界経済の
影響をより受けやすくなっている。J CRは、米国の利上げによる資本流出など韓国経済に及ぼす影響につ
いても今後の動向を注視する。なお、韓国のカントリーシーリングはAAとしている。
(2) 韓国経済は輸出産業の成長をけん引役として発展し、一人当たり名目 G D Pは28,000ドル(14年)に達す
る。80%(14 年)と高水準となっている貿易依存度(輸出入貿易額の G D P 比)は特に 2000年代以降、
大きく拡大した。IT、自動車、鉄鋼などを始めとする韓国の輸出産業は、大手財閥を中心に目覚ましい発
展を遂げてきた。同国が中所得国の罠に陥いることを回避し、高所得への仲間入りを果たすために必要な
産業高度化を実現する上で財閥は戦略的投資などを通じて大きな役割を果たした。他方、それは、結果と
して韓国経済が一部の大手財閥に過度に依存した構造になるという副作用も生み出した。17年 12月の次
期大統領選に向けて既に 5年任期の折り返し点を通過した朴政権は、中小企業を中心とする内需関連産業
の育成や観光、通信、新たなエネルギー技術開発を始めとする有望分野への民間設備投資の促進などの諸
施策を通じて産業の過度な財閥集中の問題の改善に取り組んでいる。他方、同政権は、北朝鮮による 4回
目の核実験、事実上の長距離弾道ミサイルの発射に対し、開城工業団地の閉鎖に踏み切るなど極めて厳し
い態度で臨む姿勢を示している。経済政策の今後の進捗およびその成果と合わせ、高まる地政学リスクの
行方を注視する。
(3) 財政状況については、これまでの保守的財政運営を背景に、韓国の公的債務は低水準に維持されてきた。
一般政府債務は G D P 比で 41.8%(14年末)と国際的に見て低水準となっている。08年から 09年にかけ
ての国際金融危機に対応するための財政出動の拡大で債務が増加したが、10年以降、政府は財政健全化
を進めており、概ね財政収支は黒字基調となっている。16年度政府財政予算では、財政収支は社会保障
基金を含むベースでわずかながら黒字を計画、これを除くベースでは 369 億ウォン(G D P 比で 2.3%程
度)の赤字の計画となっている。

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(4) 金融システムの安定性は概ね維持されている。12年以降、景気低迷を背景に上昇傾向となっていた商業
銀行部門の不良債権比率(固定以下)は、14 年には緩やかに低下したが、15 年は、造船など経営環境の
悪化に苦しむ産業向けを中心に再び上昇に転じた。ただし、水準自体は 15 年末現在 1.7%と低水準であ
る。また、B IS 自己資本比率は 15年9月末現在 14%(Tier I比率 11.5%)と比較的高水準に維持されてい
る。他方、預貸比率は近年 100%台で推移しているが、銀行間の競争激化を背景に07年にかけて 120%を
超える水準にまで上昇し、08年末から 09年初めにかけての銀行外貨流動性問題を招く一つの要因となっ
た。ただし、その後、金融監督当局によるウォン建てローンおよび預金に関する規制導入の効果もあって
低下した。なお、銀行部門の対外資金調達は、ホールセール・ファンディングへの依存度が近年低下傾向
にあるものの、比較的高く国際金融市場の動向の影響を受けやすい構造となっている。
(5) 輸出産業の発展を主因に韓国では、これまで経常収支の黒字傾向が維持されてきた。特に近年は、内需低
迷による輸入の減少もあり、同黒字幅は拡大傾向にある。外貨準備/短期対外債務倍率は 15 年末現在
3.3倍と比較的高水準となっている。同倍率は、短期対外債務の急増を主因に04年末の 3.5倍をピークに
低下に転じ、08年末の 1.3 倍にまで低下したが、その後は経常黒字の拡大を背景とする外貨準備の増加
を主因に上昇に転じた。なお、外貨準備は、15 年末現在 3,585 億ドルとリーマンショック前の最高値を
大きく上回る水準となっている。米国の利上げにより資本流出など韓国経済も一定の影響を受けると考え
られるが、中韓通貨スワップ協定などによる約 1,200億ドル相当の外貨流動性枠も維持されており、韓国
は、通貨下落懸念が残る新興国と比べ、対外ショックに対する耐久力に関する不安は軽減されている。
(担当)増田 篤・田村 喜彦
■格付対象
発行体:大韓民国(Republic of Korea)
【据置】
対象 格付 見通し
外貨建長期発行体格付 A+ 安定的
自国通貨建長期発行体格付 AA- 安定的

格付提供方針に基づくその他開示事項

1. 信用格付を付与した年月日:2016年3月28日
2. 信用格付の付与について代表して責任を有する者:藤本 幸一
主任格付アナリスト:増田 篤
3. 評価の前提・等級基準:
評価の前提および等級基準は、J CRのホームページ(http://www.jcr.co.jp)の「格付方針等」に「信用格付の種類
と記号の定義」(2014年 1月6日)として掲載している。
4. 信用格付の付与にかかる方法の概要:
本件信用格付の付与にかかる方法の概要は、J CRのホームページ(http://www.jcr.co.jp)の「格付方針等」に、
「ソブリン・準ソブリンの信用格付方法」(2014年 11月7日)として掲載している。
5. 格付関係者:
(発行体・債務者等) 大韓民国(Republic of K orea)
6. 本件信用格付の前提・意義・限界:
本件信用格付は、格付対象となる債務について約定通り履行される確実性の程度を等級をもって示すものである。
本件信用格付は、債務履行の確実性の程度に関しての J CRの現時点での総合的な意見の表明であり、当該確実性
の程度を完全に表示しているものではない。また、本件信用格付は、デフォルト率や損失の程度を予想するもので
はない。本件信用格付の評価の対象には、価格変動リスクや市場流動性リスクなど、債務履行の確実性の程度以外
の事項は含まれない。
本件信用格付は、格付対象の発行体の業績、規制などを含む業界環境などの変化に伴い見直され、変動する。ま
た、本件信用格付の付与にあたり利用した情報は、J CRが格付対象の発行体および正確で信頼すべき情報源から入
手したものであるが、当該情報には、人為的、機械的またはその他の理由により誤りが存在する可能性がある。
7. 本件信用格付に利用した主要な情報の概要および提供者:
・ 格付関係者が公表した経済・財政運営方針などに関する資料および説明
・ 経済・財政動向などに関し中立的な機関が公表した統計・報告

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8. 利用した主要な情報の品質を確保するために講じられた措置の概要:
J CRは、信用格付の審査の基礎をなす情報の品質確保についての方針を定めている。本件信用格付においては、
発行体または中立的な機関による対外公表という、当該方針が求める要件を満たした情報を、審査の基礎をなす情
報として利用した。
9. 非依頼格付について:
本件信用格付は格付関係者からの依頼に基づかない信用格付である。国に対する信用格付である場合を除き、依
頼に基づく格付と区別するため格付記号の後に「p」を表示している。格付関係者からは、信用評価に重要な影響を及
ぼす非公表情報を入手していない。
10. J CRに対して直近1年以内に講じられた監督上の措置:なし

■留意事項
本文書に記載された情報は、J C Rが、発行体および正確で信頼すべき情報源から入手したものです。ただし、当該情報には、人為的、機械的、また
はその他の事由による誤りが存在する可能性があります。したがって、J C Rは、明示的であると黙示的であるとを問わず、当該情報の正確性、結果、
的確性、適時性、完全性、市場性、特定の目的への適合性について、一切表明保証するものではなく、また、J C Rは、当該情報の誤り、遺漏、また
は当該情報を使用した結果について、一切責任を負いません。J C Rは、いかなる状況においても、当該情報のあらゆる使用から生じうる、機会損失、
金銭的損失を含むあらゆる種類の、特別損害、間接損害、付随的損害、派生的損害について、契約責任、不法行為責任、無過失責任その他責任原因
のいかんを問わず、また、当該損害が予見可能であると予見不可能であるとを問わず、一切責任を負いません。また、J C Rの格付は意見の表明であ
って、事実の表明ではなく、信用リスクの判断や個別の債券、コマーシャルペーパー等の購入、売却、保有の意思決定に関して何らの推奨をするも
のでもありません。J C Rの格付は、情報の変更、情報の不足その他の事由により変更、中断、または撤回されることがあります。格付は原則として
発行体より手数料をいただいて行っております。J C Rの格付データを含め、本文書に係る一切の権利は、J C Rが保有しています。J C Rの格付データ
を含め、本文書の一部または全部を問わず、J C Rに無断で複製、翻案、改変等をすることは禁じられています。
■NRSRO登録状況
J C Rは、米国証券取引委員会の定めるNRSRO(Nationaly Recognized Statistical Rating O rganization)の5つの信用格付クラスのうち、以下の 4クラ
スに登録しています。(1)金融機関、ブローカー・ディーラー、(2)保険会社、(3)一般事業法人、(4)政府・地方自治体。米国証券取引委員会規則 17g-
7(a)項に基づく開示の対象となる場合、当該開示は J C Rのホームページの“Rating Information”(http://www.jcr.co.jp/english/top_cont/rat_info01.php)
に掲載されるニュースリリースに添付しています。
■本件に関するお問い合わせ先
情報サービス部 T EL:03-3544-7013 FAX:03-3544-7026

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